ただ漫然と場当たり的に、相続をやり過ごしてきたがため、三代目にして小さな自宅しか残らなかったという、かつての大地主さんの悲劇は、しばしば聞かれることです。
民法では、申し込みと承諾の意思表示により、契約は成立すると記載していますが、実務的には、口頭契約ほどあいまいで恐ろしいものはありません。
何のために契約書を交わすのか?
お互いの約束の証拠を残すためです。
何のために証拠を残すのか?
トラブルが起きた時の判断基準にするためです。
昨今の売買契約では、境界確定を求められることが多く、
■ 境界確定できている土地
■ 境界確定していない土地
■ 境界確定できない土地
では各々市場価値が変わってきます。
「通行掘削承諾」「排水管」「舗装」等の煩わしさや負担から解放されるために、私道の行政への寄贈を目指している方もあるかとは思いますが、その要件には「境界確定」「地積更生」「相続登記済」等があります。
まず、建物の表題部登記は義務です。
表題部登記をすると、登記所から固定資産税を所管する行政庁に自動的に連絡がいき、固定資産税評価額査定のための連絡が建物所有者に来ます。お金が足りなくて足りなくてしょうがないという事態でもない限り、相続したり代理管理したりする次代のためにも、建物の登記はしておくべきです。
「相続登記をしなくても実害は無い」と考えていらっしゃる方もいるようですが、それは短絡的な考えです。
いざという時に動かせない、動かしづらいリスクが高まるだけではなく、悪化すると不動産利用の選択肢も狭まります。
例として、4代ほど前に協議が調わなかったせいか、相続登記が出来ず、今や推定相続人が100名を超え、測量、分筆、借入、売却等が出来ない土地もあります。
また、何代も前の相続時に、私道の登記をし忘れており、隣接地を処分する時に、二代・三代分と相続登記をしなければならないケースもあります。
※前面道路(私道)に所有権持分が無い土地は、時価評価が下がります。