共同住宅のはなし②~アパートについて~

不動産投資

『不動産投資』の投資先として代表的なアパートやマンション。

これらはいったいどのような建物で、それぞれどういった違いがあるのかご存知でしょうか。

前回『共同住宅のはなし①』ではマンションについてお話いたしました。今回はアパートについてお話したいと思います。

『共同住宅のはなし①』興味のある方はこちらからご覧ください↓

構造について

アパートとは英語の『apartment』を元にした和製英語です。 『apartment』 は、建物の内部を複数に区切り、それぞれ独立した住居にしたものを指し、本来は素材の決まりはありません。

日本でアパートというと主に木造、軽量鉄骨造の2階~3階建ての建物を指しています。

木造

定義があるわけではありませんが、柱や梁等の骨組み部分が木で作られている建物が木造住宅と呼ばれています。

特徴
  • 建築コストが安い(RC造等と比べて)
  • 建物が軽い荷重による地盤への負担が小さく、地盤改良や杭などを打ち込む基礎工事が軽微で済む場合が多い
  • 耐震性(法改正前)・耐火性が低い
  • 法定耐用年数がRC造等と比べて短い木造住宅の場合、法定耐用年数は22年*住宅用の場合、RC造だと47年、S造(骨格材の厚みが4㎜以上)の場合、34年

耐震性が低いと言われますが、どのような構造でも震度6~7の地震で建物が崩壊しない設計をするよう建築基準法で定められています 。また適切なメンテナンスを行うことで、建物の寿命を延ばし、長く快適に住める建物に保つことも可能です

大幸ホーム株式会社HP:主な建築・施工実績『サットンプレイス・径

木造の代表的な工法は木造軸組工法(通称:在来工法)木造枠組壁工法(通称:ツーバイフォー工法)になります。

木造軸組工法(通称:在来工法)

現在日本で一番多く採用されている代表的な工法で、柱と梁によって建物を支える構造です。古くから日本で使われてきた伝統的な工法を簡略・発展させた工法で、日本の環境に適した工法になります。

大幸ホーム㈱建築資料
大幸ホーム㈱建築資料
大幸ホーム㈱建築資料

一般的には、鉄筋コンクリートの基礎の上に柱を立て、柱と柱を梁でつなげて骨組みを作り、壁や屋根などを取り付けて建築します。更に筋交いという斜めの部材を入れて地震や強風に耐える造りになっています。

特徴
  • 間取りの自由度が高い後述の2×4工法と比べ柱や梁の長さ、組み合わせで柔軟な設計が可能。また、一から作る為、要望に応じた間取りの設計や、変形地等でも土地の形状に比較的合わせやすい
  • リフォームしやすい上記の理由から、間取りを変えるようなリフォームにも対応できる
  • 施工業者が多い
  • 職人の技量や経験値によって、仕上がりに差がでる場合がある
木造枠組壁工法(通称:2×4(ツーバイフォー)工法)

木材を組んで枠組みを作り、そこに構造用合板等を打ち付け、力が加わっても変形しづらい=剛性の高いパネルを作ります。

枠組みの主要な部分が2インチ×4インチをはじめとする規格で決まった構造用製材で作られることから、日本では一般的に『2×4(ツーバイフォー)工法』と呼ばれています

それらのパネルを組み立てて、箱形の六面体構造を作る工法です。

床、壁、天井が一体となっており、地震による外圧を建物の6面で受け止める、面で支える構造です。

2×4という呼び名は、木材の大きさが厚さ2インチ(約5㎝)幅4インチ(約10.16㎝)の規格材を基本構造用いる工法の事をいいます。*乾燥させる段階で少し小さくなるため、実寸だと1.5インチ(約3.8㎝)×3.5インチ(約8.9㎝)程になっています

特徴
  • 耐震性・耐風性に優れている
  • 職人の技量に左右されない用いられる材料の規格が統一されている為、品質にばらつきが少ない仕上がりが可能
  • 間取りの自由が少ない柱・梁ではなく、面で強度を保つので、作れる間取りには制限がでることがある
  • リフォームしづらい上記と同じ理由で、間取りを変えるようなリフォームがし難い場合がある
鉄骨造(軽量鉄骨)

軽量鉄骨、重量鉄骨の定義はいろいろ種類がありすぎて、分かりやすい説明は難しくなります。

*調べてみると、 国税庁が定める法定耐用年数では、3つの区分に分けられていました。(骨格材の厚みが3㎜以下、3㎜~4㎜、4㎜以上の3つ )土地家屋調査士が使う資料だと6㎜以上が重量鉄骨、6㎜以下が軽量鉄骨と分けられているようです

ほとんどが工場で生産した部材を現場で組み立てる方法が取られます。(プレハブ方式) 

参考写真 大幸ホーム株式会社HP :主な建築・施工実績
特徴
  • 品質が安定している
  • シロアリ被害が少ない
  • 耐火性が低め熱の上昇とともに鉄骨が柔らかくなり、強度が下がる性質を持っている。住宅では屋根・外壁や天井・床材に耐火性能の高い素材を使う等して、耐火性能を高める対策を取ることもある
  • 錆びる可能性がある鉄骨の表面に錆止めの塗料を塗ったり、溶融亜鉛メッキ等でコーティングする等といった対策がある
  • 鉄骨の厚みによっては法定耐用年数が短い骨格材が厚さ3㎜以下の場合は法定耐用年数19年、3㎜以上4㎜以下の場合は27年

軽量鉄骨造の代表的な建て方が鉄骨軸組工法と鉄骨ラーメン構造です。

鉄骨軸組工法

木造軸組工法の木を鉄骨に置き換えたもの。

鉄骨の柱と梁で骨組みを作り、鉄筋の筋交い(ブレース)をX型に入れて横からの圧力に耐える構造です。*ブレース工法とも言われます

特徴

間取りの自由度が高い木造よりも強度があるので、窓や出入り口といった開口部を大きく開けるようなデザインが可能

断熱性が低い木造と比べて鉄骨は伝熱性が高く、室内が外の温度の影響を受けやすくなる

大幸ホーム㈱建築資料より
鉄骨ラーメン構造

鉄骨ラーメン構造については前回のブログ「共同住宅のはなし①~マンションについて~」でお話しています。良かったらこちらからご覧ください。

どの構造でも、どういった工法でも、メリット、デメリットはあるものです。木造や鉄骨造の小規模建物は従来耐震性や遮音性、耐火性が低いと言われてきました。ただ近年の法改正で耐震性がより強化されており、更に間取りや高い性能の資材を選ぶことで、それらのイメージを低減させることが可能になっています。

木材においては、近年、遮熱性、遮炎性に優れた強度の高い新素材等が開発され、既にヨーロッパ等では木造高層ビルや集合住宅等に使われています。

反対に、S造やRC造等より建築費用が低いのも木造住宅の魅力ですが、ここ数年のウッドショックにより資材が手に入りにくかったり、価格が上昇したり等の問題が出ています。

投資はバランスが重要です。

建てるときの事だけでなく、賃貸運営期間の長さ、途中の修繕やリフォーム、売却や解体等々。様々な要素を広く視野に入れて考えていくことが重要と我々は考えています。

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